2010年5月20日木曜日

グーテンベルクの遠近法

 
メガネは顔の一部、だったのに…


最近、ベッドで横になりながら、
仕事の資料や趣味の本を読んでいると、
文字がかすんでよく見えない。
思い返せば、去年の秋からたびたびある。
もともと近視+乱視の持ち主で、
そのうえ医者に診てもらったわけじゃないけど、
きっと睡眠障害もあるに違いない。
だから、どうせ疲れているだけさ、と、
やり過ごしてきた。

ところが、ついさっき、
なにげなくメガネをはずして本に眼をやると、
いつもより文字が大きく見える。しかもクリア。
これには正直おどろいた。

たとえば新潮文庫は現在、
9.25ポイントの文字を本文の標準サイズにしている。
ぼくがメガネをかけると、7.5ポイントくらいに見える。
いちばん慣れ親しんだ文字のサイズは、
80年代〜90年代の出版業界標準9ポイント。
それよりも小さい。
言い換えると、文字が遠くに見えるのだ。
ちなみに、パソコンや携帯電話の画面表示は、
おそらく初期設定が11〜12ポイントくらいだろう。

7.5ポイントというと、
1960年代くらいまでの文庫本で使われていた
活字のサイズと同じくらい。
さて、遠近両用メガネを作るべきかどうか。

大日本印刷がドイツのグーテンベルク博物館に寄贈した活字板。
活字は明治時代から開発を続けているオリジナル書体「秀英体」。
ここで組んであるのは、ゲーテの『ファウスト』の有名な一節、
第二部第五章「合唱する神々しき童子の群」「天使等」。


 マーシャル・マクルーハン
『グーテンベルクの銀河系
活字人間の形成』
みすず書房












その昔、竹村健一氏がマクルーハンを
よく引用していましたが、最近見かけませんね。
でも、ニューヨーク・マンハッタン島の、
Mott St.とPrince St.の交差点近くのビルには、
今でも竹村氏の壁画があります。
(アデランスの広告の名残らしい)













松岡正剛、田中一光、浅葉克己
『日本のタイポグラフィックデザイン
—1925-95 文字は黙っていない』
トランスアート


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