2010年3月20日土曜日

珈琲休憩 もう一杯

数年前『ジョゼと虎と魚たち』などで知られる犬堂一心が監督し、
アイドルグループの嵐の5人、大野智、櫻井翔、相葉雅紀、
二宮和也、松本潤がせいぞろいした映画『黄色い涙』。
あれの原作者が永島慎二でした。

永島慎二のDNAを持った現役マンガ家は何人もいますが、
その中の一人に山川直人がいます。
三上博史が主演した『ビリィ★ザ★キッドの新しい夜明け』や
大友克洋の短編マンガを原作にした『SO WHAT』などの映画監督とは、
同姓同名です。
これが山川直人が初めて出した単行本『あかい他人』。
20年くらい前の本で、もうボロボロになっています…
以来、ノスタルジックでセンチメンタルな作風が好きで、
(とはいえ、ときどきゾクッとするような冷たさもある)
本にまとめたものは全部買っているのですが、
彼の代表的なシリーズが『コーヒーもう一杯』。
珈琲や喫茶店を大道具や小道具、口実にした短編の連作です。
エンターブレインから出ていますが、
この出版社は今年、さっきふれた『あかい他人』を復刊するようです。

『コーヒーもう一杯』と同じように珈琲くくりで仕上げたのが
豊田徹也の短編集『珈琲時間』です。

評価の高かった前作『アンダーカレント』の刊行から4年、
去年の暮れに単行本にまとめられ、少し話題になっていました。
なかでも、チェロ弾きの女の子と、ちょっと若いころのゴダールに似た、
うさくさいイタリア人映画監督がコメディーを演じる連作が面白く、
独立させて続きを描いてほしいと思います。
少女と大型犬みたいに、スリムな女の子とチェロは、
きっとポテンシャルがあるコンビのはずです。
特にチェロのケース。
機関銃でも花束でも、幼児でも入りそうじゃないですか。
そこに、うさんくさいイタリア人となれば、物語はおのずと動くはず。

『珈琲時間』は、講談社のアフタヌーンKCですが、
このブランドには、ナスをお題にした黒田硫黄の傑作短編集、
その名もそっけない『茄子』があります。
去年、新装版が出ました。



実は、この「珈琲休憩」は、
豊田徹也の『珈琲時間』を紹介するために書き始めたものですが、
ようやく3回目にして目的を果たすことができました。
でも、まだまだ続きます。

Let's Have a Coffee Break.

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