テレビ・ドラマでもショパンは大人気だ。僕は未見だが、一世を風靡したトレンディドラマ『ロングバケーション』では、「けっこうショパンを聴いた」と、木村拓哉ファンの女友達が言っていた。山口智子ファンの男友達は全然気がついていなかったけど… そういえば、NHKの教養バラエティ番組『みんなでニホンGO!』で取り上げていたけれど、「全然」は否定文に限らないとか。だから、肯定文に使う若者たちに眉をひそめる大人たちは知ったかぶりに過ぎない。なんて痛快な話だろう。
『刑事コロンボ』にも『古畑任三郎』にもショパンが使われているのは微笑ましい。『古畑』の場合は音楽家(指揮者)が犯人のエピソードで、冒頭「音楽室の肖像画が怖い、とくにハイドンが怖い」みたいなことを古畑がつぶやき、笑わせてくれた。『コロンボ』はBGMとして割とショパンを使う。
微笑ましいといえば水谷豊主演のドラマ『相棒』。シーズン3の第15話で、水谷豊演じる右京さんがショパンの〈英雄ポロネーズ〉を弾く。このシーンで40歳以上の視聴者の多くが目を細めたはず。そう、かつて水谷豊が新進ピアニストを演じたドラマ『赤い激流』(1977年、TBS)を思い出したからである。この曲は何度も何度も流れた。流れたというよりも、水谷豊演じる主人公が弾いていたコンクールの課題曲。劇中、課題曲は三つあり、1次予選が〈英雄ポロネーズ〉、2次予選がリストの〈ラ・カンパネラ〉、そして本選がベートーヴェンの〈テンペスト〉。この『赤い激流』は、のちに「大映テレビもの」として括られる作品群の一本で、とりわけタイトルに『赤』を冠するシリーズは、1970年代後半に集中して作られて、山口百恵と三浦友和のコンビで人気を博した。とはいえ、『赤い』シリーズで最も高視聴率をとったのは『赤い激流』の最終回(37.2%)。おそらく、中高生のいる家庭では50%を越えていただろう。対抗馬はもちろん、亭主関白が見ていたNHKの『ニュースセンター9時』である。当時の10代は今40代。したがって、この世代ではショパンといえば〈別れの曲〉よりも〈英雄ポロネーズ〉を思い出す。
(つづく)
パトリック・ジュースキント 著
池内紀 訳
『香水-ある人殺しの物語』
文春文庫
絶対音感ならぬ絶対嗅覚の持ち主が
汚穢(おわい)の悪臭にまみれた
18世紀のパリに現れる…
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ヴィルヘルム・フォンレンツ 著
中野真帆子 訳
『パリのヴィルトゥオーゾたち
ショパンとリストの時代』
ショパン
同時代のショパン、シューマンに比べ、
リストについての本が
異常に少ないことに驚きます。
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竹内義和
『大映テレビの研究』
澪標
あわせて小林信彦による
『「大映テレビの研究」批判』もいかが?
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竹内著は新刊書店で、
小林著は古書店でどうぞ。
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増村保造
『映画監督 増村保造の世界』
ワイズ出版
この本は大映の鬼才・増村の波乱万丈伝。
あわせて「シナリオ」2008年6月号別冊
『脚本家白坂依志夫の世界
書いた!跳んだ!遊んだ!』もおすすめ。
増村著はいつのまにか版元品切れ、
かつ古本は2万円以上と高価。
図書館で借りるしかないかも…
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