2010年5月6日木曜日

映画の演奏装置(毒蜘蛛円舞曲5)

〈別れの曲〉に限らず、ショパンの曲は劇中でよく流れる。この10年くらいの映画で言えば、パルムドール(カンヌ映画祭最高賞)を獲ったロマン・ポランスキー監督の『戦場のピアニスト』が印象的に残る人も多いだろう。
個人的には、レオ・マッケリー監督の『我輩はカモである』とか、エルンスト・ルビッチ監督の『生きるべきか死ぬべきか』で使われた〈軍隊ポロネー ズ〉(ポロネーズ第3番)、ジャン・ルノワール監督の『ゲームの規則』で使われた〈小犬のワルツ〉、オーソン・ウェルズ監督の『市民ケーン』など沢山の映 画で使われている〈葬送行進曲〉(ピアノソナタ第2番)、ダニエル・シュミット監督の『ラ・パロマ』で使った〈序奏と華麗なポロネーズ〉、サミュエル・フ ラー監督『最前線物語』の〈夜想曲第2番〉あたりが脳裏に浮かぶ。

1980年代のジャン・リュック=ゴダールも、しばしば監督作品でショパンを使っていた。たしか『マリア』や『探偵』あたりで流れていたような気がする。ゴダールは初期の『勝手にしやがれ』でも〈華麗なる円舞曲〉を使っていたが、僕はフランソワ・トリュフォーの監督作品でショパンを聴いたことがない… と思ったら、『恋のエチュード』の〈別れのワルツ〉を忘れていた。〈別れのワルツ〉こと〈ワルツ第9番〉は、ルキノ・ヴィスコンティ監督の名作『イノセント』でも流れていたが、あの映画では、〈小犬のワルツ〉や〈子守歌〉も聴ける。
(つづく)






 ルキノ・ヴィスコンティ、
スーゾ・チェッキ・ダミーコ
『ヴィスコンティ=プルースト
シナリオ「失われた時を求めて」』
筑摩書房

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