2010年8月14日土曜日

Exodus -2

Are you here to sightsee?(観光で来たのか?)

Yesと答えたものの、何か腑に落ちない。
アメリカ人の入国審査官は、わたしにパスポートを返し、
さっさと行けという表情だ。
水際で足止めをくうのはまっぴら御免だから、
うながされるままパスポートを仕舞う。
でも、この旅の目的が観光かどうか、
本当のところ自分だって判らないのだ。

世界最強クラスのパスポート。その信頼性は、YENより高いかもしれない。ただ、なぜ篆書体なのだろう? 紙幣もそうだ。これは秦の始皇帝が命じて作った書体。歴史と伝統はあるけれど、それは隣国の歴史である。できればオリジナル書体を。

今回の旅の目的。
日本国内の家族・友人・知人に向けてのリリースでは、
いちおうビジネスになっている。
「視察」「見学」「研修」という言葉は都合がいい。
もちろん、自分の店、
ピノキオブックスで売るための本を仕入れるつもりでいる。
予算は用意した。でも、帰りの荷物が重くなるのは具合が悪い。
たぶん多くて10冊、少なくて2、3冊になるだろう。
いずれにしても、観光客のおみやげ程度にちがいない。
洋酒を何本もかかえて帰宅した、
戦後昭和の海外旅行客にくらべれば、
本の数冊、タカが知れている。

ニューヨークで暮らす人たちとの交流をはかる。
これはあらかじめスケジュールに入っていた。
パックツアーじゃないかぎり、現地のツテを頼るので、
どうしたって言葉を交わす、何度か行動を共にする。
だからそれを、ビジネスにつながる人脈づくり、
などと呼ぶには値しない。
そんな耳ざわりのいいフレーズは、
コンサルにでもくれてやる。

こうやって書いてくると、
『バナナチップス・ラヴ』のヒロインを思い出す。
彼女も確かな目的があったわけではない。
なのに渡米して、しばしのあいだニューヨークに滞在する。

『バナナチップス・ラヴ』は、1991年10月から同年12月まで、
フジテレビ系列で放送されたテレビドラマ。
深夜番組枠であるにもかかわらず、
オール・ニューヨーク・ロケというバブルぶり。
演出は最近おさわがせの高城剛。
ヒロインには、これが初主演となる松雪泰子が起用された。
ちょうど『ダウンタウンのごっつええ感じ』が始まるころで、
こちらにもレギュラー出演していた。
その他、衣装はYoji Yamamotoで、
音楽は藤原ヒロシとDub Master Xが担当し、
テーマ曲は田島貴男ひきいるオリジナル・ラヴ、
『月の裏で会いましょう』だった。
劇中、ティモシー・リアリーが出てきたて、
おどろいた記憶がある、まだ地球にいたのか!と。
実際、放送の5年後に亡くなって、
願いどおり宇宙葬で星になったらしい。


『ユリシーズ』
著:ジェイムス・ジョイス
訳:柳瀬尚紀

少年時代のリアリーに
衝撃を与えた小説。
20世紀を代表する文学のひとつ。

自伝『フラッシュバックス』も
面白いけど、絶版で古本も高価。






Timothy Leary
You Can Be Anyone This Time Around
(Rykodisc,US)

参加ミュージシャンが豪華。

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